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参考資料

【知識/制度】担当者が知っておきたい遺伝子組換え作物の知識③(食品表示)

皆さんはスーパーに行ったときに何を見て購入を決めていますか?品目や写真、製造年月日、賞味期限が代表的なところでしょうか。ですが、それ以外にも例えばそばアレルギーを持っていらっしゃる方はそばの混入有無等をチェックされていると思います。このように、「食品を摂取する際の安全性及び一般消費者の自主的かつ合理的な食品選択の機会の確保」を目的に、最低限表示されていなくてはならない項目や表示方法が法令で定められています(食品表示法)。

 

今回は、食品表示の中でも遺伝子組換え食品(大豆関係)について触れたいと思います。

出所:消費者庁「遺伝子組換え知っていますか?遺伝子組換え表示制度」より

 

1. どのような品目が表示対象になっているか

 

遺伝子組換え表示制度は、食品表示基準※1(平成27年内閣府令第10号)に定められており、遺伝子組換え表示制度には、義務表示と任意表示があります。

義務対象として遺伝子組換え食品表示が必要な品目は、

1 豆腐・油揚げ類、2 凍り豆腐、おから及びゆば、3 納豆、4 豆乳類、5みそ、6 大豆煮豆、7 大豆缶詰及び大豆瓶詰、8 きなこ、9 大豆いり豆、10 1から9までに掲げるものを主な原材料とするもの、11 調理用の大豆を主な原材料とするもの、12 大豆粉を主な原材料とするもの、13 大豆たんぱくを主な原材料とするもの、14 枝豆を主な原材料とするもの、15 大豆もやしを主な原材料とするもの

と定められています。なお表示義務の対象となるのは主な原材料(原材料の重量に占める割合の高い原材料の上位3位までのもので、かつ、原材料及び添加物の重量に占める割合が5%以上であるもの)になります。その他の加工品の場合は表示義務はなく、任意で表示することになります。

 

2. どのような表示をしなければならないか

 

ここでは、議論になりやすい「遺伝子組換えでない」との表示がどのような場合に認められるか説明します。

現行制度で「遺伝子組み換えでない」との表示が認められるのは分別流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている製品です。遺伝子組換え大豆がそうでない大豆に混じらないように分別流通管理をしても、遺伝子組換えダイズが意図せずに混入してしまうことはありえます。そこで、現行の「遺伝子組換えでない」との表示は、こうした「意図しない混入」が5%以内であれば表示できるとなっています。なお、遺伝子組換え大豆とそうでない大豆が分けて管理することを「分別流通管理(別名IPハンドリング)」といい、正確には、遺伝子組換え農産物と非遺伝子組換え農産物を生産、流通及び加工の各段階で善良なる管理者の注意をもって分別管理し、それが書類により証明されていることをいいます。

 

3.「遺伝子組換えでない」との表示が今後厳格化される

 

2023年4月から、遺伝子組換えダイズの任意表示の方法が変わります。現在IPハンドリングされている遺伝子組換えダイズは意図しない混入が5%以下であれば「遺伝子組換えでない」との表示が使えました。新食品表示基準施行後は、「遺伝子組換えでない」との表示は、5%ではなく「検出されない」ことが条件になります。

 

ここで注意したいのは「検出されない」とは実質的にゼロ%を意味するのではないということです。ですので、検査する主体(行政)がどのような基準で「検出されない」と判断するのかが判断の分かれ目になります。つまり、その判断基準である公定検査法が重要になるということですが、現段階では明らかになっていません。

 

平成31年4月25日消費者庁発表の「食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)に対する意見募集の結果について(概要)」において、「分析方法や不検出の数字はいつ頃発表されるのか。遺伝子組換え表示の施行日が決定しているため分析手法や不検出の数値も納期を設けて対応してほしい」との質問に対し、「少なくとも平成31年度一杯は検討に時間を要する見込みです。」と回答がなされています。既に令和2年度入りしていることから、遠くない時期に発表がなされるものと思われます。

 

また、検出限界と共に検出品種についても現状の状況を踏まえた検討がなされていると思われます。仮に、公定検査法が現状の消費者庁・厚生労働省通知による検査法で掲載されている3品種から拡大されるとなると、以下で述べますように一般的に現在行われている検査法では対応しきれないことになります。なお、食品表示との観点ではなく農林水産省がカルタヘナ法関連で行う栽培用ダイズを対象とした抜打ち検査では、3品種以外の検査が行われています。

 

遺伝子組換え大豆に関する追加レポート(原産地で行われているIPハンドリングの実施状況、遺伝子組換えダイズの普及状況、行政検査の状況等)は、以下のリンク先のお問い合わせフォームから「ダイズ資料請求」と記入して頂き、お知らせ下さい。

 

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