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参考資料

【知識/サンプリング②】試料の取り方

試料に基づいてもとの母集団の性質を把握し、製造工程等に対して処置をとるには、母集団を正しく代表する試料の取り方が重要になります。通常、その品質特性や不適合品は均一に存在するのではなくばらつきがあるため、よさそうなものだけを作為的に狙った試料からでは、母集団の正しい姿は分かりません。

サンプリングを正しく行うには

1 その製品の生産に従事した者にサンプリングさせない

2 サンプリングの際に、責任あるものが立ち会う

3 サンプリング関係者にその目的と重要性を理解させなければならない

4 サンプリングはできるだけ対象物(ロット)の移動中に行い、静止中は避ける

ことが原則とされています。

母集団の性質を正しく代表するようにサンプルをとる方法として、ランダムサンプリング、2段サンプリング、層別サンプリング、集落サンプリングなどの方法があります。

① ランダムサンプリング

その名のとおりサンプルを母集団からランダムに直接抜き出す方法です。母集団の正確な情報を得るためには「ランダム」であることが重要です。取りやすい場所にある、試料が特徴的なもの・・・といった人為的な方法では「ランダム」となりません。ランダムであることを保証するためには、乱数サイコロや表を用いて乱数に該当するものをサンプリングするといった方法があります。

 

② 2段サンプリング

ア 母集団をお互いに重ならない幾つかのグループに分けます。一段目のサンプリングとしてランダムにグループをいくつか選びます。

イ 2段目のサンプリングとして選んだグループの中からランダムにサンプルを選びます。

1段目で選んだグループの数と2段目で選んだサンプル数がを掛け合わせたものが、全サンプル数になります。

2段サンプリングの精度は単純ランダムサンプリングよりも悪くなりますが、1段目のサンプリングにコストが手間がかかる場合には、2段サンプリングの方がサンプリングが容易になったりコストを低くできることがあります。

例えば、製品になった状態のものをサンプリングする場合にできるだけ、製品になった状態のものを開封することを避けたいと考えたとします。このような場合に、1段目のサンプリング数を減らして、2段目のサンプリング数を増やすといったことに活用することができます。

一方で、サンプリング精度を維持するためには、2段目のサンプリングばかりを行うわけにはいきません。1段目のサンプリングの誤差が大きい場合には、2段目のサンプリング数を多くすることが、精度を向上させることに繋がりますが、逆の場合は精度を低めてしまいます。誤差が大きいものをたくさん取る必要があると覚えておくと良いと思います。

実際の個数の決定には、以下の式(誤差の大きさを表す)と検査の必要コストを勘案して決定します。

グループの分散÷1段目のサンプリング数+グループ内の分散÷1段目のサンプリング数×2段目のサンプリング数

③ 層別サンプリング

母集団を層別し、各層から一つ以上のサンプリング単位をランダムにサンプリングすることです。各層は重ならないように設定し、層内が均一になるようにすると分析値の精度が良くなります。精度が要求されるとき、母集団が不均一のとき有効です。層内が均一、層間が不均一になるように分割して実施します。

④ 系統サンプリング

例えばコンベヤー上を移動している製品を最初の1個または数個のサンプルを決めた後、一定間隔で抜き取ります。単純ランダムサンプリングよりも実施は容易です。調査する特性値(想定していない品種)の変動がランダムならば基準と同じになります。特性値の変動周期が長い場合は基準よりも精度良くなります。特性値の変動周期と抜き取り間隔が重なると特性値の変動を過小評価することになります。