Blog

参考資料

海外展示会見聞録(Free From Foods EXPO2020 )

11月24~28日にオンラインによるフリーフロム・機能性食品展示会に参加しました。本展示会はEU諸国を中心に参加社が566となりました。フリーフロムは日本ではなじみがない言葉ですが、アレルゲンフリー、グルテンフリー、卵や乳製品を使わない等の特定の原材料が入っていない食品のことやその代替食品を一般的に指し、動物性蛋白中心の食事の欧米で広がっている食分野です。ここでは、当日に開催されましたセミナーうち気になったものの一部をお伝えしたいと思います。意訳につき不正確な部分がありますのがご了承頂ければと思います。

 

(1)フリーフロム市場(乳製品フリー)の動向

2020年乳製品は世界全体で約5100億ドルの市場規模があり、2015―2020年までで年率1.4%の拡大、2020―2025年までで2.0%の市場規模拡大がみられました。そのうち飲料用牛乳が35%、チーズ25.5%、ヨーグルト・乳酸菌飲料が20.4%、バター8.5%などとなっています。そして乳製品代替品は2020―2025にかけて年率3.8%、ラクトースフリーは年率4.6%の成長が予測されます。西ヨーロッパはその中で最もダイナミックに成長すると見込まれています。フリー商品が支持されている理由は、人々の健康と幸福、地球環境の持続可能性、動物福祉の観点の3つが挙げられます。

コロナ禍は免疫を強める商品・付加的な機能を持つ商品・ベーシックな商品の注目を世界的に高めています。免疫訴求商品を購入する消費者は栄養のバランスが重要と考えており2人に1人がサプリメントよりも食事からビタミンや栄養を摂取したいと考えています。

その中でも注目を集めているのはヨーグルト、乳酸菌飲料で年3.4%の成長が見込まれます。免疫系に効果があるということは、有用酵母を用いた乳製品を購入する3番目に大きな理由です。1番目は消化器系への効果、2番目は一般的な健康でした。

また、コロナによる経済的な混乱は価格に対する消費者の意識を高めています。商品のパッケージについて注目する点をアンケートしたところ、価値に見合った金額であることがミレニアム世代で最も意識されています。次に美味しそうなこと、次に低価格となっています。そして商品価値の中で重視していることに、信頼できる証拠と既知の材料・成分となっています。成分や材料で重視していることは、保存料フリー、砂糖類が制限されていること、100%天然材料、人工甘味料、人工添加物が制限されていることの順にアンケートで回答がありました。また、産地国を気にするという人の年齢別割合はベビーブーマーが最も多く約33%で年齢が若くなるとその割合が小さくなり、18%程度になりました。

今後フリーフロム市場の拡大に向けて推奨されるのは機能性の開発、価格とのギャップを埋める、シンプルな製法・材料(*クリーンレーベル)の3つです。フリー食品はそれだけで差別化要素がありますが、これに加えて「植物性蛋白が8グラム」「DHAが12mg」「免疫系に効く乳製品フリー」などフリーフロムに付加的な機能性を訴求する商品が増えつつあります。また、通常の商品と比べ、乳製品フリー商品は高価格になっています。この価格ギャップを埋める工夫として同じ材料を使う場合でも地元産品を使うなどの例があります。

更には、複雑な製造工程・材料をシンプルにするクリーンレーベルへの移行です。クリーンレーベルはオーガニック、グルテンフリー、ベジタリアン、ビーガンを超えてオンラインで検索されました。そうして、一つの注目は植物由来のチーズが成長スピードに入っていることです。

*クリーンレーベルは明確な定義はありませんが、健康的とみなせるようなシンプルな材料、消費者にとってなじみのある材料、化学的・人工的な成分(有害なものを含む)を含まない商品群を指します。多くは第3者機関の認証や商品の特徴を示すラベリングがなされています。

____________________________

(2)ヨーロッパにおける植物由来の代替食品

約6200人の消費者アンケートで6000人を超える消費者が動物性蛋白を減らす、もしくは植物由来の代替食品を検討すると答え、後者がその大半となっています。植物由来の代替製品を好む大きな理由は、何か新しいものを試してみたい、健康的で栄養バランスのあるものを食べたい、好きなブランドだから、美味しそうだからというのが大きな理由です。

減らすと答えた人々の代替食品のメインストリームはチーズの代替品です。次に続くレトルト食品、大体肉、パン・クッキーなどの焼いた穀物品、卵製品の代替の1.3倍程度の志向が確認されました。また、植物由来の代替品を検討するという人の志向が確認されたのは同様にチーズの代替品でした。

植物由来の代替品市場が盛り上がる6つの観点は①全ての食品を視野に代替食品のオプションを増やすこと、②特に代替チーズに焦点を当てたマーケティング、③価格に見合ったお手頃な商品の供給、④ターゲットとする消費者に訴求するラベリング、⑤すべての国で同じではないそれぞれの国の志向にあったアプローチ、⑥海産物、卵の代替品の開発 です。

_________

食物アレルゲンに関して様々な観点からコンパクトに考察する秀逸なセミナーがありましたので、要旨をご紹介させて頂きます。EU国内向けの情報となっており、データ、法規制は日本国内とは異なります。ご注意の上ご覧ください。

 

(3)北米・EUにおける食物アレルゲンの社会的、経済的考察

 

食物アレルゲンの関係者

食物アレルゲンの利害関係者は消費者、社会、食産業、検査機関等のサービス提供者です。食物アレルギーの有病率は大人が2~4%、子供は5~8%、グルテンの免疫反応で引き起こされるセリアック病は1%(主に北米・欧州)、食物不耐性症(アレルギーまでではないが、調子が悪くなる等合わない食品がある)は15~20%と言われています。

食物アレルゲンに関係する規制

典型的なのはアレルゲン表示に関わる規制です。成分表示が必要になるBig8と呼ばれる成分は、乳、卵、魚、甲殻類、小麦、大豆、落花生、ナッツです。これらは米国のFALCPA規則で規制されています。EUでは更に範囲が拡大し、ごま、貝類、セロリ、ルビナス、マスタード、SO2です。EU規則No1169/2011で規制されています。ナッツは国によって対象となる種類が違いますので注意が必要です。

フリーフロム食品に関する規制

アレルゲンフリーと表示するためには「食品に関する一般法」およびEU指令1169/2011が適用されます。グルテンフリーに関してはEU828/2014が適用されます。グルテンフリーに関して米国FDA最終規則は20ppm未満と定めています。

食物アレルゲンに関係する経済コスト

米国では年間総コストは250億ドル、子供一人当たりでは4200ドルと見積ることができます。医療費は50億ドル、子供一人当たりでは750ドルと見積もられています。

一方で消費者として必要なコストは子供一人あたり約4000ユーロ、直接的な費用が2085ユーロ、間接コストが1876ユーロ(スウェーデン、0~12才)と見積もられています。グルテンフリーに関するコストは、フリーフロム食品の購入に関するものです。アレルゲンフリー、グルテンフリーは高価であり、そうでないものと比べて125%~500%の費用がかかります。良いニュースは価格帯が最近は低下してきたことです。

フリーフロム市場のビジネス機会

乳成分フリー、ラクトースフリーは経済的に非常に重要なグループですが、グルテンフリー商品は経済的に注目に値します。米国で2012-2017にかけて年率13~20%の売上増が見られました。米国での市場規模は80億ドルと見積もられます。グルテンフリー商品の75%がパン食と朝食シリアルに関するものです。

食産業にとってフリーフロム食品はプラスとマイナスの側面がある

フリーフロム食品は、商品にプレミアムを付与することができ、高いマージンが期待できます。また、急速に市場が広がっている分野の一つです。一方で、商品開発、調達に費用がかかります。また、成分の隔離、製造工程の慎重な検討、追加で必要になるリスクマネジメント、検査費用が必要になります。

食物アレルゲンの混入検査法

LC-MS/MSを使う理化学分析、タンパク質を検知するエライザ法、DNA分析を行うPCR法、簡易なストリップで検査できるラテラルフロー(イムノクロマト法)があります。

どの検査方法を使用するか?

試料のタイプを見る必要があります。検査方法によって適するものとそうでないものがあります。次に試料の数です。大量の試料を検査する場合には、エライザ法を使う等適したそれぞれの方法があります。検査室の能力も問題になります。DNA分析ができるかどうか、高額な検査機器を保有しているか等です。さらには、検証の観点です。スクリーニングで用いる方法と検証で用いる方法は異なります。

消費者は?

全ての種類のアレルゲンは食品表示されていますが、自分の気になるものが入っているかどうか疑わしい、分からない時には販売者・店員に尋ねるのがよいでしょう。特に外食の際にはそうです。

食品アレルゲンから解放された世界に向けて

消費者、ヘルスケア関係、食産業、サービスサプライヤー、全ての関係者が力を合わせましょう!

バイオインサイト注)細心の注意をもって記載しておりますが、情報の完全な正確性は保証しかねますので、お客様ご自身でご確認下さい。

_______________

いかがでしたでしょうか。フリーフロム商品は欧州において大きなトレンドとなっており、元々菜食が発達している日本食にとっては大きなビジネスチャンスです。もっとも、代替食品の市場は拡大しているとはいえ商品数が増えており、代替食品だから売れるとは言い切れません。消費者は健康性や栄養バランスに優れ。目新しいものを求め、価格に見合った価値にシビアになってきています。そこで価格に見合った+αの付加価値をつけるための様々な事例が示されました。例えば、クリーンレーベルの考え方を取り入れたラベリング、コロナで意識が向いている免疫系への好作用付きの商品等、フリーフロム食品の中で差別化意識した商品が好調です。

日本食はシンプルな食材で手間をかけた高品質が特徴であり、フリーフロム市場で多いに伸びるポテンシャルがありますが、今回の様々な外国企業の取り組み事例を見るとアピール方法に工夫の余地があるかもしれません。同時に輸出先国の夫々の消費者ニーズ(例えば、美味しいだけでなく栄養バランスの優れた健康的な商品を求める中で日本食を考えている等)を個別に正しくとらえた商品パッケージ等の工夫が有効です。

弊社の提供するDNA分析は客観的で誰にも分かりやすいことが特徴です。是非、海外展開を視野に入れた商品開発に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

https://www.freefromfoodexpo.com/home/